ポーカーのプロが教える、意思決定の3つのコツ


最近、通勤途中にTED Talksを聴いています。
本日は、Liv Boereeの3 lessons on decision-making from a poker champion (ポーカーの王者が教える、意思決定の3つのレッスン) を聴きました。
とても興味深く、そして役に立つ内容なので、ここで紹介したいと思います。

以下に、スピーチの内容を、ざっくりと和訳してみます (私の英語の勉強も兼ねて)。なお、公式の日本語字幕は、全く見ておりません。ところどころ、ノリと雰囲気で訳しています。齟齬があったら、私の英語力の至らなさ故でございます。

【サイエンスコミュニケーター兼ポーカー選手であるリヴ・ボエリー氏のスピーチ】

私はプロのポーカー選手です。今日は、私がポーカーから学んだ、意思決定に関する3つの教訓についてお話します。 これらの教訓は、日常生活にも応用できるものです。

一つ目の教訓は"運"についてです。
ポーカーは、人生と同じく、"技能"と"運"の両方で勝敗が決まるゲームです。私たちの人生にとって重大な事柄。健康、お金、人間関係といった事柄。それらの結果も、私たちの意思決定の"技能"だけでなく、"運命のサイコロ"によって左右されます。
健康に気を遣っているにもかかわらず運悪く癌にかかる人もいれば、一日に二十本もタバコを吸っていて長生きする人もいます。
人生には、こういった不明瞭さがあります。だから、自分のとっている戦略が良いのかどうかを判断するのは難しいことです。絶好調な時は、特にそうです。
2010年、私は"欧州ポーカーツアー"という、有名なポーカーの大会で優勝しました。かれこれ一年ほどは、専業としてはポーカーをやっていませんでした。だから、優勝した時には「自分はかなり凄いに違いない」と思いました。
あまりに自信過剰になりすぎて、ポーカーの勉強を怠けるようになっただけではなく、博打を打つようになりました。世界最大級の大会に出て、世界最高峰の選手と対決するようになったのです。
すると、私の戦績のグラフは、以前は"美しいもの"だったのが、どんどん"寂しいもの"へと変わっていきました。私の戦績がどん底まで落ちた時に、ようやく私は自分のレベルを過大評価していたことに気付きました。
このことは、2017年の仮想通過市場を彷彿とさせます。その頃は自称"上級投資専門家"たちがどこからともなく現れました。急変動する市場においては、どんなに最悪な戦略を採ってる人でも、大儲けすることがあります。だから、そんな市場では、「自分は天才だ」と錯覚しても無理はないのです。
だから、成功しているときこそ、それがどれくらい自分の能力に依るのかを、自問自答すべきです。私たちは、"勝っているときほど、"運"というファクターを見落としてしまいがち"です。

ポーカーが教えてくれた二つ目の教訓は、"思考を定量化する"ことです。ポーカーをしているときに、「どうせはったりやろ」なんて風に、適当に判断するのはダメです。ポーカーは"確率"と"精密さ"がものを言うゲームなんです。だから、"数"で物事を考えるように訓練する必要があります。
それだから、私は何か大事なことについて考えるとき...例えば、"TEDでのスピーチ中にセリフが飛んでしまうこと"について考えるとき、私はそれを数学的に見積もります。冗談じゃなく、こうすると、計画を立てる段階で、とても役に立つんです。ここで今起こりうること、あるいは将来起こりうること、それらは全て確率で表すことが出来ます。
私は会話の中でも数字を使うようにしています。例えば、「やぁリヴ、今晩のあれ、来れそう?」と聞かれたら、「うん、多分ね」と答える代わりに、出来るだけ推定値を答えるんです。「60%の確率で行くよ」なんて風にね。奇妙に聞こえるかもしれないですね。
でも実際、「多分(probably)という言葉を、どれくらいのパーセンテージと捉えるか」というアンケートをTwitter上で取ったことがあって、その結果は、こんなにもばらついているんです。だから、"多分"なんて言葉は役立たずで、真の情報を何も伝えていないんです。でも、皆さん、"多分"とか"ときどき"とか、そういう曖昧な言葉を使ってしまいがちですよね。その代わりに、数字を使うようにしましょう。数字で話すと、相手がどう捉えたかを知ることができます。

三つ目に"直観"について話したいと思います。
こんな格言をFacebookのフィードで見かけたことはありませんか?
「心の声を信じろ」
一見、素敵な言葉ですよね。
でもこれは、酷いアドバイスです。
じゃ今から、世界最高峰のポーカー選手の姿をお見せしますよ。

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彼らが"フィーリング"とか"直観"で生きている人間に見えますか?
いやいや。どうみても彼らは、じっくりと慎重に分析するタイプですよね。
それは、現代のポーカー界は、"人の表情を読める"だけで、トップに立てる時代ではないからです。"直観"は、我々が信じるほど完璧ではないからです。
壁にぶち当たった時に、神秘的なインスピレーションの源から正しい答えが降ってきたら最高でしょう。けれども、現実はそうではなくて、私たちの直観は、希望的観測や偏見によって簡単に歪められてしまうのです。
それなら、直観はどんな場合には"使える"のでしょうか。
私が読んだ論文はどれも、我々が経験豊富な「日常生活の事柄」には、直観が有効だと結論づけています。例えば、「何も言わないけど、友達が自分に対して怒っているのが分かる」とか「狭い駐車場に車を入れられる」とかそういった事柄です。
一方で、すごく重大な事柄。例えば「進路をどうするか」とか「誰と結婚するか」とかそういう事柄で、"直観"が"慎重な分析"よりも役に立つなどと、どうしていえるのでしょうか。だってこういった事柄には、参照すべき経験が無いでしょう?
こういう訳で、私の三つ目の教訓は"直観を無視するべきでは無いけれど、かといって過信するのも良くない"ということです。

最後に、今日の3つの教訓を、ポーカー選手流の言葉でまとめます。
・成功は喜ばしい。ただし、サンプル数が多い場合に限る。
・"直観"は人の友である。"費用便益分析(cost-benefit analysis)"もだ。
・未来は不明だ。けれども絶対に(damn well)見積もることは可能だ。

以上、私のテキトーな和訳でした。是非、元のスピーチも聴いてみて下さい。

私の知り合いを見渡しても、麻雀が強い人って、就活なり仕事なりで成功している印象があります。"運"や"確率"で物事を考えられるって大切ですね。